タイプ別競馬予想アプリの分類法

皆さんの競馬予想スタイルをなんでしょうか?

昔ながらの競馬新聞片手にという方も少なくないと思いますが、パソコンスマホ全盛期の現代は、競馬予想アプリを利用するという人もそれなりの割合を占めています。

2023年9月にJRAも公式スマホアプリを公開し、時代はデジタルに大きく舵を切っています。馬柱を見るだけなら、JRA公式アプリで無料で見られる時代になりました。

この記事ではアプリで競馬予想を始めたい方向けに、どのような種類の競馬予想アプリが存在するかを簡単に説明し、最後にオッズを使った予想アプリとの違いについてお伝えしたいと思います。

競馬予想に利用できる情報

競馬予想アプリの分類を説明する前に、我々が競馬予想に利用できる情報を整理しておきましょう。

馬柱

馬柱はそのレースに出走する競走馬の馬番、枠番など基本的な情報のほかに、直近3〜5走程度の戦績がセットになったものです。競馬場などで無料配布されているパンフレットの場合は、戦績がカットされている場合もありますが、これは場内販売されている競馬新聞への配慮をしているためで、アプリやウェブサイトの場合は、戦績もセットになっていることがほとんどです。

調教

競走馬は出走前に調教で調子を整えます。坂路、ダート、ウッドチップなどさまざまなトレーニング用コースを単騎もしくは並走します。調教は使っているコース、追い方などで、目的が変わってきます。多くの場合、これに調教タイムが掲載されており、調子の判断などに使われています。

オッズ・馬体重

開催日に発表される情報として、競走馬の馬体重(出走1時間ぐらい前に発表)やオッズ・人気などがあります。馬体重は前走と比較しての増減と当日の体重が発表され、調子の判断に利用されます。オッズは、購入時の配当の判断のほかに、人気の指標として利用されます。

血統

競走馬の父親、母親など血統に関する情報です。こちらは専用のアプリなどを使うと5代もしくは9代血統表を確認できます。血統は父親や母親、母の父などの系統により、競走馬の得手不得手を判断する材料にされます。短距離が得意、ダートが苦手など血統により多少の違いが出てきます。また、近親に兄弟がいると、その馬の戦績を参考にすることもあります。ただし、名馬の全兄弟でも、同じ能力があるわけではありません。

予想印

これらの情報を元に、機械的もしくは予想家が予想した結果のうち、印として表記されるものを予想印と呼びます。予想印は、本命◎、対抗〇、連下△などいくつか意味を持ちますが、多くの場合、重い印(本命)が重視される傾向にあります。競馬新聞の場合、1人ではなく、複数の予想家の印を掲載していることが多いです。

競馬予想アプリの大まかな分類

電子競馬新聞

紙媒体の競馬新聞をデジタル化したような総合的な情報を扱っているアプリ、サービスのことです。代表的なものとしては、JRAVAN Nextやnetkeiba.comがあります。これらは出走馬の情報はもちろん、リアルタイムの情報更新に加え、独自指数や契約している個人予想家の予想情報などを売りにしています。紙媒体のように直接馬柱に書き込みはできませんが、それ以上に手軽さと、速報性、情報量の多さがウリです。

タイム予想

競馬予想アプリのなかで一番多いのが、走破タイムを独自に加工した指数を作るタイム予想です。タイム予想は古くから西田式スピード指数がありますが、スピード指数は新聞などでも無料で見られることが多く、アプリで提供されるタイム指数は独自のものが多いです。

能力予想

タイムだけでなく、戦績などを総合的に判断して指数化された数値です。代表的なものにレーティングなどがあります。完全に機械的に計算されたもののほかに、人が補正を加えているものもあります。

血統予想

競走馬の血統を独自に解析し、コースや距離などレース番組に最も適性を示す馬を探し出す予想です。タイム予想や能力予想が馬の強さ(速さ)などに主眼を置いているのに対し、こちらは適性に主眼を置いています。先ほど述べたように、血統理論は遺伝子解析をしているわけではないので、そこまで精度が高いものではないことを理解しておいてください。

AI予想

最近出はじめた最も新しい予想法です。過去の成績データを機械学習させ、そのレースで勝つ馬を確率的に求めます。予想に使われている要素はAIにもよりますが、人間では到底無理という膨大なデータから求められます。その過程でタイム指数も利用されていますが、それはあくまでも1要素にすぎず、好タイムの馬が低評価になる可能性もあります。

AI予想の特徴は、設計者がチューニングで方向づけを行いますが、どうしてその馬が高評価になったかは判断がつかないことです。AIによる判断のため、理由はわからないけどこの馬が高評価になったという出力のみを得られる点です。

すぐれたAI予想は高い的中率を誇ります。

さて、これらの競馬予想アプリは、すべて「競馬予想に利用できる情報」に基づいて結論を出しています。多くの場合、それ以外の情報は加味されていません。

次にオッズを元にした予想アプリの分類と特徴をご紹介します。

オッズ予想アプリの分類

オッズ予想は大きく分けると2種類に分類されます。

異常オッズ検知

オッズの変動から、通常とは異なる「異常オッズ」を見つけることを目的としています(異常オッズの説明はここでは省略します。興味のある方は、関連記事をご覧ください)。
異常オッズが出た馬を中心に予想を組み立てます。

なお、異常オッズのシンドロームは、こちらのタイプになります。

オッズ分布

オッズの構造を解析し、オッズ分布から的中馬券の範囲を絞り込むことを目的にしています。多くの場合、オッズマトリクスを利用して範囲の特定を行いますが、単に各馬のオッズが一定以上開いた場合、「オッズ断層」としていくつかのグループに分けて、足きりをする場合にも利用されます。

オッズ分布は、勝つ馬を見つけるのではなく、特定の範囲に購入対象を絞り込むことを主眼にしています。

普通の競馬予想とオッズ予想の違い

競馬予想をする以上、どの方法でも特定のレースを予想するということに違いはありません。両者の違いをひとことで説明するなら…

  • 普通の競馬予想:特定のレースを予想する
  • オッズ予想:オッズから「確率的に期待値の高い馬を探す」こと

普通の競馬予想の場合は、レースに出走している馬そのものが主役です。対してオッズ予想は、どの馬が出ているかは一切考慮せず、オッズの動きだけに着目します。わかりやすくいうと…

になります。タイム予想全盛の時には、「数字が走っている」と揶揄されたこともありますが、それでもその数字は馬が経験した過去レースから求められているため、馬を部分的に捉えています。

オッズ予想の場合、馬は一切見ずに、オッズだけを見ています。この時に意識されているのは、何番の馬が何番人気ということぐらいで、未勝利馬だろうがG1馬だろうが違いはありません。

オッズ競馬の最大の利点

オッズに着目したとき何かいいことあるのか?
もちろん、こんな疑問はごもっともですね。

AI予想のように、事前に手に入るあらゆる情報を分析したほうが、高精度の予想ができる。もちろんその通りです。AI予想の的中率の高さは注目に値するものです。

ただし、AI予想も欠点を抱えています。それは事前にわかる情報をベースにしているため、その情報やアプリの利用者が多くなればなるほど、回収率が下がるということです。現在、AI予想アプリの数は限られていますが、仮に近い将来他の予想法を駆逐し、AI競馬予想全盛になったとします。その時、同じインプットで動作するAI予想は、優位性を失い、どんどん回収率が下がっていく可能性があります。

タイム指数系予想が主流ではあるものの、なかなか勝てなくなってきている背景として、タイムを見るのはすでに常識となっているからです。同じデータをもとに計算方法を変えても、似たような結果になり、あまり優劣はつきません。

今後、競走馬ごとのラップタイムが発表されれば、再び盛り返す可能性はありますが、それでも利用者が多くなれば同じ道をたどるでしょう。

なにより、事前に得られる情報で指数や予想をした場合、最終的に「オッズ」として反映されることです。予想だけして馬券を買わない人はあまりいないので、馬券を買った瞬間に必ず「オッズ」に反映されます。

オッズ予想は予想法の流行り廃りに関係なく、人間の欲や感情を「オッズ」という形で分析しています。AIなど機械には感情はありませんが、それを使う人間には欲や感情は存在します。

非常に普遍的なテーマであるため、オッズ予想は陳腐化しずらく、回収率の低下を起こしにくいといえます(なによりも利用者自体が少ない)。もしオッズ競馬が成立しなくなるとすれば、競馬が人気通りでしか決着にしなくなった時です。しかし、それは逆に競馬の終焉といえます。

まとめ
  • 競馬予想に利用できる情報は「馬柱」、「調教」、「血統」、「予想印」
  • オッズ、馬体重などリアルタイム情報も参考にされる
  • 競馬予想アプリは、「電子競馬新聞」、「タイム予想」、「能力指数」、「血統予想」、「AI予想」などがある
  • 事前にわかる情報を元にした競馬予想は、利用者が多くなれば回収率の低下を招く
  • オッズ予想は、回収率が下がりづらい