朝一オッズと直前オッズ

異常オッズを時系列分析する場合、どの時間帯のオッズを参考にするべきか? この疑問は常にあります。しかし、時系列分析は、異常オッズを連続したつながりとしてとらえて分析するため、時間帯ごとの比較は避けられません。

時系列分析
時系列オッズ(三連単過剰ポイント)

なぜ時間帯が意識されるのか?

昔の競馬環境

今よりも通信やパソコン環境が整っていない時代、馬券を買いたいなら競馬場や場外馬券売り場(ウィンズ)に足を運んで、馬券を購入するよりほかありませんでした。

それでもPAT方式により、ファミコン、ドリームキャストなどの家庭用ゲーム機、パソコンなどを使って電話投票することはできました。

今でこそ、ネットの常時接続環境が整備され、速報オッズについても月額固定料金で取得できるようになりましたが、以前はいちいち電話代(通信費)と、データ料金が個別に徴収され、最新オッズを取得するのは高コストでした。

PATからオッズを取得すれば、通信費のみで可能ですが、1レースのデータ取得に10円徴収されるのは、地味にきつい時代でした。

この時代はオッズを使った競馬をするファンにとっては、非常に厳しい時代であったといえます。

しかし、その反面、手軽にオッズを確認できないため、インサイダーによる異常投票も確認しずらかったのは事実です。この時代は、大きな金額を投票し、いっきにオッズを動かしても、一般競馬ファンにはほとんど気づかれなかったのです。

「朝一オッズ」と呼ばれる、1レースのパドック周回前ぐらいの時間帯(9:30以前)に、異常投票が入り、実際によく馬券になっていた時代でもあります。

極端な例では、前日に投票しても問題ありませんでした。

パソコンの普及と低価格化

1980年代後半から、コンピューターは身近な存在になっていきます。マイコンと呼ばれていた時代から、パソコン(パーソナルコンピューターの略)という言葉が定着し、100万円近くしたパソコン一式も、30万円に下がり、そのうち10万円を切るようになりました。

その流れに貢献したのは、MS-DOSを搭載したパソコンの存在です。それまでの日本のパソコン市場は、NECや富士通、SHARPといった会社が独自規格のパソコンを販売し、ソフトウェアに互換性はありませんでした。

しかし、マイクロソフトのMS-DOSが標準ソフトの位置を占めると、NECのパソコンでも、世界標準のPC-AT互換機でも同じソフトを動かせるようになります。

こうなると高価な専用設計の国産パソコンを利用する意味は薄れ、世界標準のPC-AT互換機が普及していきます。

こうした流れの中で、オッズを競馬予想に取り入れる競馬ファンが現れます。オッズ競馬に必須なパソコンが身近になったことで、オッズ分析をする競馬ファンが増えていきました。

インサイダーとの攻防

とりわけ、インサイダーの動向に影響を与えたのは、異常オッズ理論です。それまでのオッズの構造や分布の解析を行うオッズ競馬から、明らかにインサイダーによる異常投票を狙い撃ちする競馬予想が成立します。

オッズ競馬、とりわけ「異常オッズ理論」は、インサイダーによる異常オッズの分析を主体としています。そのため、ぶっちゃけた言い方をすると…

インサイダーの取り分が減ります

「オッズ目減り」と表現している現象が発生し、インサイダーは自分たちの取り分を守るため、投票する時間帯を変えてきます。この変更は、それなりの頻度で起こり、異常オッズが世の中に現れたときは、「朝一オッズ」で十分戦えた理論も、現在ではまったく勝てなくなりました。

では、どこに移動したのか? 2019年時点では締め切り直前に移動しています。締め切り直前のオッズを「直前オッズ」といいますが、ここ10年くらいの傾向は、ずっと直前オッズであり、朝一オッズ異常馬が激走することはほとんどありません。

シンドロームが設立した2003年ごろは、「離散馬」とよばれる朝一異常馬がある程度は走っていましたが、その時から「離散馬」よりも「集中馬」のほうが優先される傾向にありました。なお、集中馬というのが「直前オッズ異常」を起こした馬のことです。

インサイダー同士の争い

朝一オッズ→直前オッズへのシフトは、異常オッズ派のせいだと考えられてきましたが、それだけでは説明のつかない現象も発生しました。

インサイダーのグループが相手グループを意識して、偽異常を発生させているのではないかという現象が発生します。オッズの傾向がガラリと変わって、また元に戻る。こんな現象がここ数年発生しているのです。

なぜこのような現象が起きるのか? 真相はインサイダーの内部情報を知りえない我々では、想像しかできません。

「朝一オッズ異常馬」が再び激走する時代が来るかはわかりません。しかし、現時点では直前異常とはっきりデータにも出ているので、異常オッズで競馬をする場合には、インサイダーの意思に従うよりほかはありません。